銀行融資は、企業や個人が資金を調達する際に重要な手段として利用されています。
融資を行う銀行は、コンプライアンスに基づき一定の原則に基づいて業務を遂行し、安定的な金融システムの維持に努めています。
その中でも特に重要なのが「5つの基本原則」です。
本記事では、銀行が融資取引する際の遵守している内容について詳しく解説します。
融資におけるコンプライアンスとは
融資におけるコンプライアンスとは、融資業務において法律や規則を遵守することです。
銀行融資の場合、金融庁その他の官庁が定める基準、業界団体が定める自主行動基準 自主ルール、 銀行内規範(倫理綱領 規程や手続)や社会規範まで幅広い範囲でプロセスを確認しつつ融資を実行しています。
具体的には、次のような事柄はしてないけないとされています。
- 顧客に対し虚偽のことを告げること
- 顧客に対し不確実な事項を告げる、また確実であると誤認させること
- 顧客に対し不当に事業者を指定し信用を供与すること
- 顧客に対し重要事項を告げない行為、誤認させるような事項を告げる行為
- 顧客に対し優越的地位を不当に利用して不利益を与えること
さらに、次のことを遵守して融資をおこなう決まりがあります。
- 顧客の資格審査を適切に行う
- 融資の目的が適法であること
- 融資の条件が公正であること
- 融資の返済が確実であること
コンプライアンスを遵守することで、金融機関は以下のようなメリットを得ることができます。
- 金融庁などの監督当局からの処分や罰金を回避できる
- 顧客からの信頼を獲得できる
- 金融機関のブランドイメージを向上させることができる
- 金融機関の健全性を維持することができる
5つの基本原則
1. 公共性の原則とは
公共性の原則とは、銀行が社会全体の利益を重視し、持続的な経済成長や社会的な発展を促進することを目指す指針のことです。
銀行は単なる利益追求のみならず、社会的責任を持ちながら融資を行うことが求められています。これにより、金融システム全体が安定し、市場の不均衡や過度なリスクを抑えることが可能となります。
2、安全性の原則とは
安全性の原則については、融資金が確実に回収されるものでなければならないとされており、銀行自身がリスクのある取引をおこなわない趣旨が強い原則です。
銀行が融資業務を遂行する際に、借り手の信用力やリスクを適切に評価し判断します。
つまり、銀行融資が厳しいといわれるのは特にこの安全性の担保を重視しているからといえます。
3、収益性の原則とは
私企業である銀行は収益を上げることが不可欠です。
融資での収益を高めるには、金利を高くするか、貸出量を増やす必要があります。
しかし、金利を高くすると他社競合との競争に負けてしまうため、貸出量は減少します。
また、金利を高くすることは、資金需要者の負担が増すので、公共性の原則と相反するような形になり複雑です。
事業融資等は、事業主との交渉によっても金利が上下し、銀行収益の優先度が落ちる場合もあります。したがって、必ずしも金利を高くして収益を高めることはできない場合もあり、安全性を担保しつつ最大限企業努力することが望まれます。
4、流動性の原則とは
融資した資金は、貸しっぱなし、借りっぱなしにならないよう、適度な流動性が保たれるよう努めています。
銀行は、融資の原資が預金であり、預金の期間を考慮して融資期間も設定するのが原則です。
また、金利変動による収益の増減に影響が少ないような期間を定めることを考えるのも重要な原則です。
5、成長性の原則とは
融資が融資先の成長・発展と銀行自身の成長・発展の両方に役立つようにしなければいけないという原則です。
まとめ
5つの基本原則は、銀行融資の重要な指針であり、持続可能性や社会的な貢献を考慮した融資を行うことで、金融システムの安定性や社会全体の利益を重視した運営を促進する内容になっています。
ただし、銀行も私企業であり利益を追求することを、金融庁や株主から強く望まれています。
そのため審査が甘いビジネスローンを期待して、金利を下げてもらうような施策は困難です。
実際の融資の基本原則には、銀行の安全性も最重要とされており、資金需要者の希望とおりの融資にならないことも例外ではありません。
よって資金需要者はいかに銀行を納得させて融資を実行してもらえるか?に最大の努力を投入する必要があります。
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